JUGEMテーマ:日常

 

今年はなにもかもイレギュラーな年ではあるが、

それでも旧盆休みの今週は、街もなんとなく静かだ。

 

ここ一ヶ月くらいずっと考えていることがある。

それは、直接会ったこともない、特別に推していたファンでもない

若い俳優さんが亡くなったことが、

なぜ、いつまでも悲しさを引きずっているのか、ということ。

 

そして気づいたことがいくつか。

 

まず、葬儀というセレモニーを目にしていないこと。

身近な人が亡くなれば、

大概は葬儀に参列するか、お香典を届けて返礼品と挨拶状を頂く。

有名人の方でも、

大概はテレビやネットを通して葬儀の模様が報道されたり、

ご遺族からの挨拶がある。

 

そういう物理的な体験を通して、

人は半ば強制的?に、

その人が亡くなったことを受け入れていくのではないか。

 

 

そして、SNSのおかげ?で、

彼が亡くなった後も次から次へと笑顔の写真や動画やドラマや

多くの人からの追悼コメントなどがアップされて、

その内容が彼の仕事ぶりや人柄を肯定するものがほとんどなので

それはそれで嬉しいのだが、

だからこそ、逆に、彼がもうこの世界にいないことがとても悔やまれてしまうのだ。

以前のようにSNSのない時代だったら、

例え有名人が亡くなったとしても、

こんなに悲しみや後悔?が日々更新されていくことはなかった、と思うのだ。

 

 

さらに、異常気象なのか温暖化か知らないが、

今年は季節が穏やかに移り変わっていない。

もちろんコロナ禍の影響もあり、

季節の移ろいをしっかり五感で感じられないまま、冬、春、夏と過ぎている。

 

以前、お寺の取材で住職がこう言った。

「おばあちゃんの葬式の時は、境内で蝉が鳴いていて暑かったね。

おばさんの葬式の時は、裏山の紅葉がすっかり色づいてたよね。

…そんなふうに、葬儀と季節の記憶は案外結びついているものなんです。

一年中快適な葬祭会館での葬儀もいいんだけど、

暑さや寒さも記憶できるっていうのは、お寺の葬儀のいいところじゃないんでしょうか」。

 

なるほどと頷けた。

子どもの頃の田舎のお寺でのお葬式や法事は、

たしかに快適ではなかったかもしれないが、自然の中で営まれる非日常の儀式は、

子どもにとっては貴重な体験だった。

 

そして季節がスムーズに移ろっていくことで、

人は、悲しみとの距離を無理なく遠ざけていくことができるのだ。

 

数年前、父が初夏に亡くなった。

夏が過ぎ、秋が来る頃には、

もちろん思い出しはするんだけれども、

初夏の頃より優しい気持ち、

少し懐かしい気持ちで思い出せるようになっていた。

 

 

今年は7月は異常なくらい雨の日が多かった。

各地で豪雨被害が伝えられ、梅雨開けも8月まで延びた。

心身の体調が悪くない人だって、

あれほど雨に降りこめられたら気持ちが滅入る。

 

そんな中での彼の死だったから、

彼が亡くなったその日の天気と同じ状態がしばらく続き、

季節がうまく流れていかない中で、

衝撃や悲しみから、自然な状態で遠ざかることができず、

なんでこんなに悲しいのか、悔しいのか、

わからないままに二週間くらいを過ごしてしまったのだと思う。

おそらく、同じような心境の方も多かったのでは。

 

 

 

先日「暮らしの手帖 8-9月号」を買った。

表紙の絵を描いていてるミロコマチコさんという方が

「奄美大島新聞」というコラムを連載されていて、その中の一文に目が留まった。

 

※一部抜粋

ウミガメの目は、奥の奥まで続いてる宇宙みたいだった。

次の日、想像のいきものの絵を描いていたのだけど、目を入れたら昨日のウミガメが立ち現れて、

心がぶるぶると震えて、耳の奥がジーンとした。

 

 

亡くなった俳優さんはとても端正な顔立ちの方だが、

わたしは、特に彼の漆黒の瞳が好きだった。

目力があるとか、そういうのとは違う。

まっすぐにどこまでも続く、吸い込まれそうな漆黒の瞳。

 

ああ、そうか。

 

このウミガメの瞳の続く先のお話を読んで、

妙に気持ちが落ち着いた…というか、腑に落ちた。

 

というわけで、ウミガメの写真を載せることにする。

ああ、本物のウミガメに会いたいなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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1980年代後半から、広告企画、雑誌編集、占い鑑定など、主に文章を書く仕事に携わっています。最近は、医療系の国家資格も活用中。すべての仕事の根底にあるのは、「その人の物語に寄り添う」こと。スピッツの音楽と草花をこよなく愛する日々。
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